箸のお話

歴史箸のマナーことわざお箸初め

「お箸初め(おはしぞめ)」について

○「お箸初め」とは

「お箸初め」とは、赤ちゃんに生まれてはじめてご飯を食べさせる儀式です。
生後百日(あるいは百二十日)頃になると、赤ちゃんには歯が生え始めます。ちょうどこの時期に、

・歯が生えるまでに大きくなったことを、神様やご先祖様にご報告して、これから健やかに成長をしていくことを願うとともに、

・その子が一生食べ物に困らないようにという願いを込めて、

新しくお膳を整えて赤ちゃんに食べるまねをさせてお祝いをするのが「お箸初め」の儀式です。

参考までに、子供が一歳になったとき、一升のお餅を背負わせる儀式がありますが、これも、子供の成長を祝うと共に、将来食べ物に困らないようにという願いが込められています。どちらの儀式も、子供の健やかな成長と幸せな未来を願う親の気持ちがたくさん込められた儀式ですね。

○色々な呼び方

「お箸初め」には、他にも色々な呼び方があります。
一例を挙げると、

・箸揃え(はしぞろえ)・・・新しい箸を揃えるので

・お食い初め(おくいぞめ)・・・初めてご飯を食べさせるので

・歯固め(はがため)・・・生えてきた歯を丈夫なものにするために

・百日の祝い(ももかのいわい)・・・生後百日に行うので

などがあります。

○お箸初めの儀式

それでは、お箸初めの儀式について、最も一般的な方法をご紹介したいと思います。
まず祝い膳に、以下のようなものを盛りつけます。

①尾頭付きの鯛

②煮物

③赤飯

④香の物

⑤汁

このような形が一般の祝い膳です。

④の香の物の器には、 歯固めの石と梅干しを盛りつけます。

そして、これらを赤ちゃんに食べるまねをさせてお祝いするのです。

ただし、最近では形式にとれわれない「お箸初め」を行うご家庭も増えてきました。実際にこれから使っていく食器で行う場合や、本当に赤ちゃんが食べられる離乳食などを、実際に食べさせて祝う場合もあります。この他にも色々なスタイルの「お箸初め」があると思いますが、赤ちゃんの健康を祝うご家族が相談されて、一番納得のいく形でお祝いをしてあげれば、それが赤ちゃんにとって最高の「お箸初め」の儀式だと思います。

○箸蔵寺の「お箸初めの箸」を使う場合

箸蔵寺は、お大師さまが金毘羅大権現さまより「お箸を使うものを救いましょう 」というお告げを受けてされたお寺です。この縁起(いいつたえ)にもとづき、当山では本年より、「お箸初めの箸」の授与及び、「お箸初めご祈祷」を行なっています。ですから、箸蔵寺の「お箸初めの箸」で「お箸初め」をされる場合は、これから赤ちゃんを見守っていただける権現さまとお大師さまに感謝の気持ちを込めて、儀式を始める前に、

・権現さまのご真言

「オンクビラヤソワカ」と、

・お大師様の御宝号

「南無大師遍照金剛」

をお唱えくださるようお願いします。

○おわりに

ここでご紹介した「お箸初め」は一例にすぎません。他にもたくさんの呼び方や、様々な「お箸初め」の作法があると思います。地域によっても、また「家」によっても色々な伝わり方があると思います。ですから、「私たちは、このように呼んでいる。」とか、「私のうちではこのような方法でお箸初めをしている。」など、今日のお話しとは違ったものをご存じの方は、ぜひ紹介していただけるとうれしいです。

→お箸初めの申込みへ

当サイトの内容は、ご自由にリンク、引用して頂いて結構ですが、著作権を放棄するものではありません。
箸蔵寺による著作物の引用や転載の際は引用・転載元を明記していただきますよう、お願い申し上げます。

歴史箸のマナーことわざお箸初め