縁起

箸蔵寺は天長五年(828)に、弘法大師が開創されたと伝えられる、徳島県三好市にある、真言宗御室派の古刹です。

この地を訪ねられたお大師様は箸蔵の山頂に漂う不思議な瑞気(=めでたい兆し、瑞祥の気→現在で言うところのパワースポットのようなものなのでしょうか?)に導かれ、ここに登られたということです。

お大師様はここで金毘羅大権現にめぐり合われ、「済世利民」のご神託(おつげ)を授けられたと伝えられています。このご神託は、「箸を挙(あ)ぐる者、我誓ってこれを救はん」という言葉で表されています。箸を挙ぐる者、というのは国民の全てということです。つまり、全ての人々を救済するという誓いが、当時、全ての人々が使っていた箸というものにたとえてたてられたのです。これが箸蔵寺の名前の由来です。

金毘羅大権現のご神託を得て、お大師様は自ら御神像を刻まれてご本尊(秘仏)とされ、さらに、七堂伽藍をこの地に建立して、当山を開創されたのです。

以来、千年以上にわたり、ご本尊金毘羅大権現を中心として、箸蔵山は信者各位の熱心な信仰心とともに隆盛を続け、今日に至っています。

また、讃岐のこんぴらさんのお祭りの時に使われた箸を箸蔵山にすむ天狗様が当山に運び納めたという「天狗の箸運び伝説」が地元で語り継がれており、これらのことより箸蔵寺は、「こんぴら奥の院 箸蔵山」の名で多くの方々に親しまれています。

四国巡礼においては、四国別格二十霊場第五番、四国三十六不動霊場第四番、四国三十三観音霊場第二十八番、百八観音霊場第六十九番、阿波西国三十三ヶ所第二十三番の札所寺院となっています。

そして、平成16年7月には、本殿、護摩殿、方丈(本坊)、薬師堂、鐘楼、天神社の6棟が国指定の重要文化財に指定され、同年12月には観音堂が県指定の有形文化財に指定されました。
さらには、平成23年7月に、高灯籠、仁王門、手水舎、中門の4件が国の登録有形文化財(建造物)となりました。
これにより、宗教的ばかりでなく、文化的な遺産としても重要な役割を持つことになりました。