戌年の本尊、阿弥陀如来様のお話

平成三十年は戌年です。
戌年と、その次の亥年の本尊様は阿弥陀如来様です。

仏様は、持ち物や(いん=手の形)などの特徴によって、どんな仏様かを見分けることができます。
阿弥陀如来様は、両手ともに親指と人差し指で「OK」のような輪を作る印を結んでいる像が多く、この印が胸の前で並んでいたり、膝の上で組み合わさっていたりします。

まるで眼鏡のレンズのようです。

密教の教えでは、仏様が持つ五つの智恵(五智)があり、五如来様がそれぞれの智恵を備えているといわれています。

一、大きな鏡のように、物事を隅々まで見渡せる智恵「大円鏡智(だいえんきょうち)をもつ阿しゅく如来
二、二つのものを私情や偏見をはさまずに公平に比べる智恵「平等性智(びようどうしょうち)をもつ宝生如来
三、一つのものを深く深く理解する智恵「妙観察智(びょうかんざっち)をもつ阿弥陀如来
四、物事を知るだけではなく、どうすればうまくいくかを考える智恵「成所作智(じょうそさち)」をもつ不空成就如来(=釈迦如来)。
五、以上四つの智恵を全て兼ね備えた智恵「法界大性智(ほうかいたいしょうち)をもつ大日如来。

阿弥陀如来様はこれら智恵のうちの一つ「妙観察智」を備えています。
阿弥陀如来様は、そのレンズのような印が表すように、物事の本質を正しく深く理解され、私たちを導いてくださいます。
もちろん、偏見を持った色眼鏡で観るようなことは決してありません。

しかしながら、私たち人間は、自分が見たいものだけを見たり、都合のよい解釈をしたりしがちです。
また、うわべだけで判断して、心の奥に潜む本当の優しさや悪意を見過ごしてしまう場合もあります。
それに、同じものはいつまでも変わらないと信じて、時と共に移り変わっていく様を見過ごしてしまうことも少なくありません。
人の心のレンズは、使わずに放置されていたり、知らないうちに汚れたり曇ったりしてしまうものです。

阿弥陀如来様がご本尊の平成三十年は、如来様の持つ妙観察智にあやかり、心のレンズの汚れを落として、物事や自分自身のありのままを見つめ直す機会をもってみてはいかがでしょうか。