申年の干支、大日如来さまのお話

本年も残すところあとわずかとなりました。

来年も皆様にとって実り多き心豊かな一年になりますよう心よりお祈り申し上げます。

来年は申年。干支の本尊様は今年の未年と同じく大日如来様です。
今年は干支の本尊様のお話をアップしていませんでしたので来年と合わせてここにご紹介します。
(ちなみに昨年の干支(午)の、勢至菩薩様のお話はこちらです。)

大日如来様は真言宗の中心となる仏様で、真言密教の曼荼羅の考え方では、観音様やお不動様、その他たくさんの仏さまは大日如来様が、私たちの様々なお願いに応じてそのお姿を変えられたものであるとされています。
詳しくは「菩提心第7号.仏様とマンダラのお話」をご覧ください。

大日如来様は他の仏様を生み出す根本です。
ということは、大日如来様は全ての仏様の智慧・力を備えているといえます。
それならば、お願い事は大日如来様さえいらっしゃれば大丈夫なはずなのですが、実際にはそうなっていないのが面白いところです。

四国八十八ヵ所の寺院のうち、大日如来様をご本尊としている寺院は6ヶ寺しかありません。
一番多いのは薬師如来様の24ヶ寺、他にも阿弥陀如来様10ヶ寺、千手観音様12ヶ寺、十一面観音様11ヶ寺など、大日如来様よりも数多く御本尊となっている仏さまがいらっしゃいます。
別格二十霊場に至っては、大日如来様を中心の御本尊としているお寺は1ヶ寺もありません。

これは、皆様のお願いをする対象が、「なんでもできる方」ではなく、「病気を治して頂くならお薬師様」というように、はっきりとした特徴をもつ相手を望んでいるのではないかと思います。
万能(オールマイティー)よりも専門家(スペシャリスト)に魅力を感じるということなのでしょうか。

とはいえ、大日如来様は全ての仏様を生み出す源ですから、だれよりも深い智慧を備えています。
様々な仏様がいらっしゃっても、それは大日如来様の心を形に表すためにお姿を変えられたものですから、思い思いにやりたいことをやっているわけではありません。
大きな心でまとまっているからこそ正しい道に導くことが出来るのです。

世の中には色々なグループ、組織などが存在しますが、同じ目標を持つなど大きな心でまとまっている集まりほど上手く回っていると感じます。
それぞれが様々な役割を演じていても全体を理解している方がスムーズです。
例えばサッカーでは、一つのプレーで、ディフェンダーを引き付けてスペースを作る人、そのスペースに飛び込む人、そこにパスを出す人など、それぞれ意志が通じ合っていれば得点につながりやすいです。
また反対に、仕事で「何をやっているのかわからないけれど、言われた通りにさえやっておけばいい」などという気持ちで働いている人がいるところには、考えられないミスようなが生まれることもあります。

スポーツや会社以外にも、世の中には色々な集まりがあります。
家庭、学校、地域社会、大きいところでは人類、地球など、例を挙げればきりがありません。
ただ、どのような集まりでも、それぞれの集まりが「何を目指すか」ということを考えるのは大切なことだと感じます。

iPS細胞でノーベル賞を受賞された山中教授という方がいらっしゃいますが、教授の好きな言葉は「Vision and Work hard(ヴィジョン アンド ワークハード)」です。
これは理念や目標を持って一生懸命に働くという意味です。
山中教授が仰るには、日本人は一生懸命働くけれど、理念を持って働く人が少ないとのこと。
教授自身も、学会や論文等に追われ「人を救いたい」という本来の目的を忘れそうになったとき、この言葉を思い出し初心に戻り努力をされるといったお話をされていました。

大日如来様が御本尊の今年と来年、ただ漠然と流されるだけではなく、時にはじっくりと、また、初心に帰って自分自身を見つめ直してみるのもよいかもしれません。