第22号特集-僧侶にできること-

臨時号特集.僧侶にできること(H23.8.5)

東日本大震災の復興に向け、世の中では様々な形の支援活動が行われています。

私も、物的(金銭的)支援は微力ながら行わせていただいておりましたが、それ以外に僧侶ならではの心の支援は何ができるのかを考えていました。

先日、四国三十三観音霊場の総会の席で、霊場会の副会長をされているご住職が、

「私が法事に行った時は、法事の後で、集まった皆さんに、東日本大震災の被災者の供養、復興祈願のために、般若心経を一巻、ご一緒にお唱えしてもらっている。」

というご活動をご紹介くださり、大変感銘を受けました。

震災のためのイベントを一から計画して案内し実行することはなかなか大変なことです。

しかしながら、私たち僧侶は幸せなことに、法事に行けば、ご先祖様のために綺麗にお祀りされた祭壇と、拝むために集まってこられた方々に出会うことができます。

その方々にご理解を頂き、時間を少し頂戴してご一緒に拝むことができれば、法事の数だけあらゆる所から想いを送ることができるのです。

もちろんこれは、現地で苦しんでいる方に物や気持ちが直接届くという方法ではありません。

しかし、お経を一緒に唱えていただくことにより、震災を思い起こす機会が一つでも増えれば、何かをしたいという気持ちや、色々な支援活動に協力したいという気持ちにつながっていくこともあります。

さらには、法事に来られた皆様が、ご自身のご先祖様と同じ世界にいらっしゃるであろう被災者の方々の供養を行えば、手を合わせた皆様にも必ず功徳が還ってくることでしょう。

これこそが廻って向かうと書く「廻向」(えこう)そのものだと思います。

霊場会でのこのお話の後、私も法事の時、檀家さんにお願いをしてみたところ、皆さん快く引き受けてくださり、ご自身のご先祖様を拝むのと同じくらい真剣にお経を唱えてくださいました。

これからも、私が法事に行くお家では、このお願いをしばらく続けてみたいと思います。

また、このお話をしたところ、「私もぜひ取り入れたい」という三好郡市の僧侶の方もいらっしゃいました。

もし、私や他のお寺のご住職さんが、法事の席で

「東日本のために一緒に般若心経をお唱えくださいませんか。」

と、お願いをした場合には、いつもより足のしびれる時間が何分か増えるかもしれませんが、ご一緒にお心を合わせてお唱えいただけると嬉しいです。

(以上)

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