あるがままと本当の自分-法爾自然、如実知自心

何でもかんでも「これって仏教ですよね…」とこじつける解釈するシリーズ第3弾です。

密教で大切な言葉は数多くありますが、その中でも私の好きな言葉は「法爾自然(ほうにじねん)」「如実知自心(にょじつちじしん)」です。

法爾自然というのは本来あるがままという意味。
当ブログのタイトルになっているほど好きな言葉です。

素直で穏やかな状態もあるがままの一つではあるけれど、
怒ったり泣いたりしている自分、それもあるがまま。

そうやって実の如く自らの心を知ることが如実知自心。

自分はこういうときに泣くんだな…
これを言われるのが自分の怒りの地雷なんだな…
そんな自分に気づけた時、生き辛い性格だと思っていた自分が少し楽になることもある。

あるがままは何もしないという意味ではありません。
いろいろなものに触れることにより、新しいあるがままに出会えます。
それが法爾自然という言葉に魅力を感じる理由です。

「あるがまま」や「本当の自分」を応援している楽曲はいっぱいありますが、その中でもお気に入りのものを二つご紹介します。

ビリージョエルの「素顔のままで」  Just The Way You Are

I took the good times,
I’ll take the bad times
I’ll take you just the way you are

楽しい時を受け入れてきた僕だから
辛いときだって受け入れるよ
そう、今のままの君を…

今の世の中、どれだけそういう関係があるのでしょう…
無理をしなくてもそのままを認めてもらえるというのは幸せなことです。
ただ、時には過去にとらわれず、移ろいゆく「あるがまま」を見つめて受け入れるということが大切な場合もありますね。

シンディ・ローパー 「トゥルー・カラーズ」  True Colors

You with the sad eyes
Don’t be discouraged
Oh, I realize
It’s hard to take courage

In a world full of people
You can lose sight of it all
And the darkness there inside you
Makes you feel so small

悲しい目をした貴方
落胆しないで
私には分かる
勇気を出すのは大変なことだと

沢山の人がひしめきあうこの世界で
貴方はすべてを見失なう
心の中に闇が広がり
自分が小さな人間に思えてしまう

But I see your true colors
Shining through
I see your true colors
And that’s why I love you

So don’t be afraid to let them show
Your true colors
True colors
Are beautiful like a rainbow

でも私には貴方の真実の色が見える
その輝きが滲み出している
私には貴方の真実の色が見える
それが私が貴方を愛している理由

だから本当の自分を
見せることを怖がらないで
貴方の真実の色
それはまるで虹のように美しい

なんと慈しみ溢れる歌詞でしょうか…
歌も好きですが、彼女の魅力的な歳の重ね方も本当に素敵です。
「True Colors」はベストアルバムの一つ、何度聞いても飽きません。

どちらも思いっきり自分の思うままの意訳です。
甘いラブソングですが、取りようによっては「あるがまま」の相手を愛する=相手の「自己肯定感」を上げるメッセージにも取れますね。

ちなみに、アナ雪の「Let it Go」は、ちゃんと約すと「そのままにしておいて」という意味合いですね。
一人で山に入ったエルサが「放っておいて、一人は自由、寂しくないわ」と歌っているので、私の中の法爾自然とは少し違います。
本来「ありのまま」は「Let it Go」ではなく「Let it Be」の方ですね。

では、ビートルズの「Let it Be」が法爾自然かというと…
これはビートルズ解散前の最後のアルバムの曲と言うこともあり、私には「あるがまま」の中に本来の自分を見つけるという意味合いではなく、(あくまでも私の感じ方ですが)「流れに任せて」とか「なすがままに」のようなものが感じられ、私の思う法爾自然とは少し違う解釈になってしまいます。
もちろんそういうこととは関係なく「Let it Be」は良い曲だと思います。

ありのままの自分を見つけることは難しい。
それを見つけられたとしても、自分がありのままのでいられる時間や空間、それを認めてくれる相手というものは本当に得がたいもの。
そんなことを考える今日この頃です。